株主・投資家の皆様へ
企業価値に対する社会的評価の向上を目指して

株主の皆様には、平素より当社の事業運営に多大なるご支援とご理解を賜り、心より御礼申し上げます。このたび、第74期を迎えるにあたり、当社の現状と取り組みについてご報告申し上げます。
昨今、東京証券取引所(東証)をはじめとする市場からは、株主ならびに投資家の利益向上に資する観点から、上場企業に対する要求が様々に高まっています。特に、企業価値の向上や持続可能な成長を実現するための具体的な取り組みが求められており、当社としてもこれに応えるべく、経営の透明性向上、収益性の改善、財務体質の強化に取り組んでおります。
一方で、建設業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。インフラの老朽化問題は深刻化しており、道路や橋梁、トンネルなどの社会基盤の維持・更新が急務となっており、防災・減災と合わせた国土強靭化に向けた取り組みがますます重要性を増しています。しかし、建設業界全体においては、就業者構成の変化が大きな課題となっています。少子高齢化の進展に伴い、就業者数の減少や高齢化が進み、特に技能労働者の確保が困難な状況にあります。このような中、当社は待遇の改善や労働環境の整備を通じて、担い手の確保と育成に注力しております。具体的には、働きやすい職場環境の構築、若手人材の育成プログラムの充実、さらには健康経営の推進、加えてロボットの導入による省人化、無人化など、多角的な取り組みを進めております。
第74期は、当社が掲げる第5次中期経営計画「VISION2030」の中間年を迎えます。経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の拡充を通じて「稼ぐ力」の向上を目指した活動の成果を評価する年と位置付けています。この取り組みの一環として、現場従事者の仕事に対する「誇り・魅力・やりがい」を高め、生産性の向上につなげることを目的とした「リ・ブランディング」活動を推進してまいりました。その成果の一つとして、現場事務所の快適性を向上させる「ウエルネスオフィス」が職員や発注者から高い評価を得ており、今後の展開でさらなる効果が期待されます。また、4年間をかけた九州小竹工場のリニューアルが本年3月に完了しました。これにより、労働環境の改善とともに、天候の影響を受けない稼働率100%を実現し、生産性の向上と安定した供給体制を確立することができました。
また、昨年4月から改正労働基準法の厳格適用により、労働時間の上限規制が施行されました。当社ではこれに備え、これまで様々な施策を検討し実装してまいりました。その結果、法規制を遵守したうえで、通期実績では対前年比で20%程度の売上増を達成できました。これは、物価上昇による工事価格の上昇を考慮しても、施策の効果が十分に発揮されたと考えており、2024年問題への対応が十分できたものと評価しております。今後は、「工事工場利益改善プロジェクト」による収益性の向上を目的とした具体的な施策の展開を強化し、さらなる成長を目指します。
このように、今後も様々な取り組みを通じて、株主の皆様をはじめとするすべてのステークホルダーのご期待に応えてまいりたいと考えていますので、株主の皆様には、引き続きのご支援とご理解を賜りますようお願い申しあげます。
代表取締役社長