株主・投資家の皆様へ
今求められる変革を成し遂げて安定的な成長を目指します

株主様ならびに投資家の皆様には、平素より当社グループの事業運営に対して深いご理解とご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。
この一年間は、世界的なインフレの進行により、当建設業界でも原材料や燃料価格の高騰問題が工事の進捗や採算性に影響を及ぼしました。しかし一方で、土木分野は引き続き「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に基づく事業展開が推進されていることから、関連工事が市場を牽引し、潤沢な工事量を背景に活況を維持しました。また建築分野についても、大都市圏を中心に再開発事業が計画、進捗中であり、一時的な着工遅れはあるものの、コロナ後の急速な経済の回復を背景に、今後の市場拡大が期待されます。このような状況のなか、当社におきましては新規工事の契約や原材料、燃料価格の高騰分のコスト回収の遅れ、加えて価格転嫁交渉が難航したことなどが原因となり、期初の通期業績見通しを2度に渡って下方修正する結果となりました。特に土木分野では、近年個々の工事が大型化する傾向にあり、優先交渉権を獲得して価格交渉を進める工事の契約に複数年を要するケースが出てきています。このような工事及び工場稼働率の低下が採算性の悪化につながり、収益を圧迫する結果となりました。今後は、速やかに工事契約を進め、安定的な進捗軌道に乗せていくことが課題になります。受注活動についても期初の計画を下回る結果になったものの、2023年度は、過去最高レベルとなる500億円を超える手持ち工事を持ってスタートすることができました。今後も、短期的には「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が市場を牽引し、中長期的には老朽化の進む社会インフラや集合住宅などの維持更新需要が継続することが予測され、建設投資は底堅く推移するとみています。
建設業では、2024年度から残業時間の上限規制が法令で規定されることから、働き方改革や生産性の向上につながる施策の実装など、これへの準備が待ったなしの状況です。当社では、第5次中期経営計画「VISION2030」で定めた計画に沿ってDXの本格導入や工場のリニューアルなど多くの施策を進めています。今年は新たに、人材の有効活用を目的とした65歳までの「定年延長制度の導入」、工事現場の働き方改革を支援するための「バックオフィスの導入」をスタートしました。加えて、長期的には「魅力ある建設業の構築」が求められており、当社においては現場や工場の潜在する魅力や価値を掘り起こし、生産現場で働く人々が「誇り・魅力・やりがい」を感じて生き生きと活躍してもらうための働きがい改革、「リ・ブランディング」を推進するなど、新たな環境を創造していきたいと思います。
今年度は、「VISION2030」の3年目となり、2025年のゴール目標の達成に向け確かな成長路線を構築するための重要な一年になります。引き続き株主の皆様のご期待にお応えし、真に社会貢献する企業となるように富士ピー・エスグループとして今求められる変革を成し遂げ、安定的な成長を目指していきたいと思います。今後とも何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。
代表取締役社長