電気化学的防食工法
1.概要
- 電気化学的防食工法は、コンクリート内部の鋼材を陰極とし、コンクリート表面近傍に設けた陽極を通じてコンクリート中に直流電流を流すことにより、鋼材の腐食を抑制する工法です。電気化学的防食工法には、電気防食工法、脱塩工法、再アルカリ化工法があり、構造物の立地条件等によって工法が選定されます。
2.特徴
- 脱塩工法は、コンクリート内部から劣化因子である塩分を電気化学的に外部へ排出させる工法です。通電期間は8週間程度(電流密度※:1.0A/m2)で、その後通電する必要はありません。脱塩システムには、補修部材を電解質溶液に浸して脱塩効果を得るパネル法やコンクリート表面に吹き付けたセルロースファイバーに電解質溶液を散布・浸み込ませて脱塩効果を得るファイバー法の2種類があります。脱塩工法は、劣化因子の排出のみならず、電解質溶液のアルカリイオンをコンクリート内部へ浸透させ再アルカリ化することで、鉄筋の再不動態化も図ることができ、工法適用後に表面被覆工法を併用することで、さらに耐久性確保が図れます。
※電流密度(でんりゅうみつど):単位面積に垂直な方向に単位時間に流れる電気量
- 電気防食工法は、外部電源方式と流電陽極方式(犠牲陽極設置工法)があります。外部電源方式は、直流電源装置を用いて鉄筋に防食電流を直接供給するもので、構造物の供用期間を通して電流を流し続ける必要があります。流電陽極方式は、電源装置の代わりに鉄筋よりも卑な電位を有する金属を既設鉄筋に接続し、両者の電位差による電池作用を利用して防食電流を連続して供給するものです。
3.施工実績
- 弁天大橋塩害補修工事
- 小余綾高架橋(2)補修工事
4.カタログ・テクニカルレポート